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GCC導入事例: 東京クラウド・住民情報系システム共同利用

共同利用はシステム標準化に向けた
大事なステップ

― 自治体と地域の未来のための3市挑戦の軌跡 ―

当社が開発・展開する住民情報系システムe-SUITEが、東京都の3市(立川市・三鷹市・日野市)で稼働しました。


少子高齢化など今後の地域社会やそれに相応しい住民サービス提供を見据え、システム運用の費用削減や業務最適化を目指して始まった一大事業、GCCは自社開発の住民情報系パッケージe-SUITEの提供を開始しています。


同一システムを使うだけではなく、業務運用も統一するという徹底した取組みで得たものとは。


3市それぞれの事務局から本事業が持つ意味合い、将来への展望をお聞きしました。


(取材:2022年2月、担当者様は当時の所属で記載しています)


【事業内容】
東京自治体クラウド協議会
参加団体: 東京都立川市、東京都三鷹市、東京都日野市
対象業務: 住民記録、税務、福祉など約60業務

      GCCの自治体ERPパッケージシステム「e-SUITEv2(イー・スゥイート・ツー)」を提供



【 1 】東京クラウド・プロジェクト発足




事業の始まりは平成30年、3市間で共同利用の協定が締結されたことだった。それ以前から総務省より有識者を招くなど共同利用への意識付けを各市で行っていたほか、勉強会など交流を通して情報部門の考えが近いという意識があったという。平成28年度に人口規模やシステムの更新時期が近い三鷹市・日野市の2市で事業の検討が始まり、次年度29年度に立川市がシステム導入の見直しの結果共同利用への参加を決定。3市で取り組むに至った。


共同利用のゴールラインとして設けたのは「①業務の標準化と共通化」「②カスタマイズの抑制と帳票の統一化」の2項目。結果として、システムに投じる費用削減や内部業務の効率化を狙いとした。


実は、この共同利用に至る背景として「2040年問題(*用語解説参照)」がある。人口減少や少子高齢化が加速し、「2040年には自治体職員数が半分でも担うべき機能を発揮する」という局面を想定していかなければならないほど、自治体は担うべき機能の維持、量的にも質的にもその困難が増す中、解決できる能力が求められる。というものだ。

この先、自治体は職員数が減少していく中で住民サービスを維持し、かつ時代や状況に合わせた施策に対応していく必要がある。


「同じ庁内には前任者がいないケースも出てくる。だからこそ、他団体に同じ業務を担当する相談相手がいること、業務内容を合わせて広域で補い合う準備が今、必要とされています」と言うのは、日野市情報政策課長。


本事業では「システムや帳票だけでなく運用も合わせる」を徹底した。

3市でのシステム共同利用は、この先待ち受ける自治体の変化への準備、ひいては地域社会や住民の生活をこれからも支え続けるために3市で手を携えて進んでいく、という意思表明でもあった。


 


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では、事業の発足からシステムの稼働を迎えるまで、各市はどのような工程でプロジェクトを進めていったのか。ここからは各市担当者のインタビューを交えて追っていきたい。


 


#事業の進め方


複数の主管課、部署を横断し、自治体内で同じ目的を共有してそれぞれが意識を高めていくことは難しい。それぞれ共同利用移行についてどのように対応していったのか。


―主管課からの反応はいかがでしたか。また、どのように目的意識を共有していかれたのですか。


立川市 市長からは本事業が他団体と連携することで、事務の標準化・効率化が図られ、市民サービスの向上に繋がる施策になるとして、賛同を得ていました。職員へはトップダウンで事業の方針を示し、有識者による勉強会を開催するなどして協力を得る体制を作りました。

日野市 市長から賛同を得て、トップダウンという形が取れたのは事務局としても進めやすい部分がありました。


三鷹市 選定年度に市長や部課長からのメッセージを出し、事業の目的や意義を浸透させることも行いました。


 


#仕様の確定


ただ、実際にシステムと業務運用を合わせることには様々な困難があったという。約60のワーキンググループ(以下、WG)が設置され、各業務主管課とコンサルタント、事務局が参加。「各WGで合意形成を行い、カスタマイズ要望など事業の基本方針に関わる重要な決定事項は各市の管理職も参加して最終調整をはかる(立川市)」という方法で調整を進めていった。


三鷹市 他市と運用を合わせるのが初めてのことで、懸案をひとつずつ潰していくことの繰り返し。運用の違いだけではなく、制度や規則を変える必要が出てきたりしたので、システムに関連することだけでも合わせていこうという所に苦労がありました。


公立学校の選び方が各市異なる、勧奨通知(*)の有無にばらつきがある…等々、大小様々な差異を埋めていく作業が続いた。また、各市の業務を突き合わせることで改善点も見つけられたという。


立川市 3市で帳票を比較したところ見直す箇所を見つけられたことや、市民へのお知らせ通知を折る/折らないの違いがあり、折ることに統一して郵券代(切手代)を抑えられた等、気づきが多くありました。


担当となった職員は通常業務もある中で取り組んでいたが、「市として大きな意味を持つ事業であること」という意識がワーキングを後押しした。


立川市情報推進課 田邉課長



【 2 】コロナ禍でのシステム構築


#システム提供事業者をGCCに決定




令和元年(2019年)から2年(2020年)にかけた調達で、本事業の優先交渉権をGCCが獲得。契約協議後、構築工程が始まった。


日野市情報政策課 (左から)佐々木副主幹、坪田課長、伊藤様、中村様

 


―調達前後、GCCにはどんな印象をお持ちでしたか?


三鷹市 GCCは自治体専業ということもあり、業務に詳しいという印象です。

立川市 都内でも採用する団体が増えていて、パッケージの完成度が高いと感じています。

日野市 ユーザ向け説明会があるなど情報発信をしっかりやっている印象を持っていました。


 


システム評価を含む提案内容のほか、GCCは本社のある群馬県で既に共同利用の実績があったことや、東京都内の既存ユーザの声など総合的な評価でGCC採用にいたったという。だが、事業のキックオフを行おうとした矢先、コロナ禍に突入。令和2年(2020年)4月から始まるシステム構築の打合せ、WGは、ほぼオンラインで行われた。手探りで始まったオンラインWGだが、構築開始から2年が経つ今、すっかり定着した。


 



―Web会議システムでの打合せで良かったこと、良くなかったことを教えてください。


三鷹市 移動時間が削減し、効率的に進められました。現在は庁内の会議もWeb会議が浸透しています。

日野市 対面で行うには三市メンバー全員が入る会議室の予約と日程調整をしなければならず、コロナ禍前は調整が難しかった。一方、Web会議は小さな会議室でも行えるので選択肢が拡がり、日程調整が比較的楽にできました。またWeb会議では、マイクをオフにすることができ、その間内部での意識合わせ、検討ができるため、持ち帰り課題が減った印象があります。

立川市 WG開始当初は機材の確保が難しく、Web会議運営のノウハウもないので当事者全てが手探りだったと思います。今(令和4年(2022年))はWeb会議が主流となり、移動時間が減ってGCC社も構築作業へ注力できたのでは。


 


3市とも揃って移動時間の削減や対面時と比べて調整が減ったことをプラスに捉えているようだ。一方で、対面時より会議の粒度が粗くなってしまって新たに調整が必要になるなど、運営の進め方を試行錯誤してきたことがうかがえた。さらに、今回WGのほとんどをWeb会議で進められたのは、それまで同じ職員同士が約2年にわたって膝を突き合わせて要件の精査と作成をする中で、互いの業務や人となりを見知ってきた基礎があったからこそ。今後はさらにオンラインでのやりとりも増えてくることが予想されるが、その土台には相互理解があること、そして、必要時には対面で、という状況に応じながら対応し、三市間の良好な関係性維持に期待をしたい。


 


#システム稼働後、運用の定着化へ


―稼働して3ヶ月~1ヶ月経ったが、庁内で共同利用の効果と感じられることはありますか?また、システム入替の前との変化があれば教えてください。


立川市 稼働直後でまだ実感はありませんが、慣れが出てきてから効果を感じられるのでは。業務の精度が向上し、残業の削減に繋がることを期待しています。

日野市 各市主管課同士のやりとりが増えているようです。他2市に聞いて検討する、という流れが生まれつつあるようなので、その流れが定着するように期待しています。

三鷹市 変えた運用に慣れている状況です。今回カスタマイズを抑制したことで、バグが減って安定稼働に繋がっていくのを期待しています。


 


本事業では、システムの提供と合わせて、住民が読みやすい分かりやすいユニバーサルコミュケーションデザイン(*)の帳票や窓口サービス拡充、データ利活用といった提案が採用されている。今後はそれらとともに導入の効果も追いかけたい。



【 3 】システム標準化への対応




現在、自治体を取り巻く環境は大きく変動している。2025年(令和7年)度末までにすべての市区町村が、国の定める標準仕様に準拠するシステムへ移行することが義務化された「自治体システム標準化(*)」もその一つ。3市共同利用を進める中で、本事業の関係者には大きなインパクトを与えた。国は自治体クラウド~共同利用を推進していたはずなのに、と。

国の方針は自治体クラウド・共同利用からシステム標準化へ移っている。ただ、3市は前向きに捉えている。


三鷹市情報推進課 (左から)髙木様、白戸課長、永廣様

 


―本事業は標準化対応にどのようにつながっていくのでしょうか


三鷹市 自治体クラウドも標準化も目指すところ、趣旨は同じ。3市で仕様に合わせていった経験が生かされるのではないか。標準化はひとつのステップと捉えています。

日野市 他市とシステムや運用を合わせることを経験していることは大きいと感じています。この経験を三市で活かしていきたいと思います。

立川市 共同利用が前段階にあり、最終的に国が標準システムを整備するものと想定していました。3市で事務を標準化したノウハウは標準化への準拠にも有効です。


 


運用を合わせる作業を一度経験している、先に「汗をかいた」経験が活きてくるー標準化の流れの中にあって、3市ともこの事業での経験を活かして対応できる、と手ごたえを感じている。


 




2022年(令和4年)1月。東京クラウド協議会に東京都小金井市が参加する調印式が行われた。3市から4市になる東京クラウドは新たなターニングポイントを迎える。コスト削減と住民サービスの充実、そして「自治体DX(*)」への取組み。三鷹市情報推進課長は「単独市でやるよりも4市でやる方が推進力が生まれる」と言う。


三鷹市 スマートシティや手続きのデジタル化、引っ越しワンストップなど新しい取組みを進めていきます。共同利用とうまく連携しながら住民サービスを充実させたいです。

日野市 システムを熟知しているGCCからはたくさん提案してほしい。自治体の課題に対して、システムやデジタル技術を使ったらこう改善できる、という投げかけを期待しています。

立川市 東京クラウドの取り組みを着実に稼働させることの先に、標準化やガバメントクラウド(*)への対応があると思っています。


 


立川市情報推進課熊谷氏は「自治体システムはインフラのひとつ」と言う。サービスが継続・安定したその先に、時代に合わせた自治体の姿を描ける。また、3市とも「GCCはパートナー」とのコメントをいただき、標準化などこの先にある取組みに並走する責任を感じるとともに、自治体ひいては地域社会を支えるメンバーであることを感じている。




~編集後記~


当初の予定通り、3市で共同利用が開始しましたが、ここに至るまで様々な問題があり、3市が多くの調整を経て稼働に至ったことがうかがえました。また、共同利用というステップを経て、標準化など将来への展望も各市お持ちで、4市目参入を控えた東京クラウドはその形を変えながら進んでいくのだと感じました。

東京クラウド共同利用は各自治体が将来住民サービスを維持し、世の変化に対応していくための基礎となるもの、という考え方は、GCCの「ITで地域社会を潤す」というビジョンとも一致するものです。GCCとして社会的な責任を感じる機会となりました。

事務局のみなさま、今回はありがとうございました。




3市プロフィール


  • 東京都立川市人口:184,795人

    東京都のほぼ中央、JR各線や多摩モノレールが乗り入れる多摩地区の玄関口です。

  • 東京都三鷹市人口:190,216人

    キャッチフレーズは「水と緑の公園都市」。多くの文豪が暮らした「文士の街」としても知られます。

  • 東京都日野市人口:187,017人

    市内に高幡不動尊や新選組副長の土方歳三の出身地で知られる、歴史深い自治体です。


※人口は2022年3月1日時点のデータです。


用語解説

2040年問題日本における少子高齢化問題を示すキーワード。
2040年には、1971年~1974年の第二次ベビーブームに生まれた「団塊ジュニア世代」が65歳〜70歳となる。65歳以上の高齢者の人口がピークになることで発生する、社会保障費の増大や働き手不足等の問題の総称。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)人々の生活のあらゆる側面に、デジタル技術が引き起こしたり、影響を与える変化のこと。現在、多くの企業でDXの取組みとして、デジタル技術を用いた業務改善やサービス創出を行っています。
2019年、国は指すべきデジタル社会のビジョンとして「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」が示している。
デジタル技術を用いた行政サービスの改革を「自治体DX」と称し、地方自治体が主体的に推進することとしている。
自治体システム
標準化
「デジタルガバメント実行計画」で定義された「自治体DX」の重点取組項目の一つ。
地方自治体の情報システム20業務(2022年3月現在)において、国が定めた標準仕様に移行することで、「自治体業務の効率化」「システム運用コストの削減」等達成できるとしている。
全国の市区町村は、2025年度末までに標準化への移行が必要されている。
共同利用/
自治体クラウド
システム標準化と同じく、「自治体業務の効率化」「システム運用コストの削減」等を目的とした、総務省による取組み。自治体クラウドは、共同利用形態の名称。
従来各自治体が個別に調達・導入していた自治体業務システムを、複数自治体で共同利用することで、カスタマイズの抑制・システムの共同化による割り勘効果での導入・維持管理の費用削減が期待できる。
勧奨通知各市区町村の給付等事業において、未申請の対象者に対し、申請/申し込みを促すために発行する通知。
ユニバーサルコミュニケーションデザイン印刷物での情報コミュニケーションに、製品開発のようなユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、「見やすい、わかりやすい、伝わりやすい」コミュニケーションを実現する、という考え方。
今回システムの導入に伴い、税等の通知書を「見やすく、わかりやすく、伝わりやすい」ものとするため、ユニバーサルコミュニケーションデザインに配慮して刷新した取り組みが、一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会のUCDAアワード2021の奨励賞を受賞した。
ガバメントクラウド政府共通のクラウドサービスの利用環境のこと。2025年度末期限の自治体システム標準化にあわせて、対象業務システムのガバメントクラウド移行が決まっている。